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告知と放談の部屋☆ 放93「的中した混乱」 [趣味・カルチャー]

  

テレビの時代を思い出すのですが、番組を維持していくためには、先ず優秀なスタッフを抱えている制作会社を決めてから、番組の方向や意図に基づいて足りないアーテイストを補足そして行きます。何チームも制作チームを組んで番組を維持していくのですが、兎に角最初に組んだチームがメインになっていくのですが、今回の映画制作で何が不安なのかと考えると、やはり映画を制作するメインとなるスタッフの中心となる会社が、どうも今回の素材を動かして行くのには不向きであるということなのです。


 私にとって不安でならなかった原因はそのことでしたが、それに気が付いたのでしょうか、メインとなる監督にしてもプルデユウサーにしても、「日本アニメーション」とは関係のないところから呼びました。小説のイラストを執筆してくれているいのまたむつみさんは欠かせない存在ならば、彼女を中心としたスタッフを持っているカナメプロに映画の制作の中心になって貰うのが常道だと思うのですが、今回は作画の一員として参加して貰うだけです。


 原作者がいちいち制作に口を出すということは控えようと考えていた私は、細かな制作の様子についてはほとんど連絡がありませんが、かつての「さすらいの太陽」での原作者としての立ち位置に失敗して、大阪電通と対立してしまった経験から、推薦した脚本家たちからその進行状態の情報を得るだけです。しかし彼らから漏れてくる情報はどうもあまり芳しくないものばかりなのです。古代を背景にしたアクションに関しては、現代感覚で制作していかなくては若い観客を満足されることは出来ないのではないかということばかりです。全体を動かして行く会社としては、かなり畑違いな分野の作品を受け入れたようですが、一体角川書店とどういう話で今回の制作を引き受けることになったのかまったく判りません。


 脚本に関しては彼らの中で一番年上である富田祐弘君が上層部からの要求、指示についての問題を、上手くまとめていってくれているようですが、ちょっと異質の感性を持っている寺田憲史はかなり不満が高まっているようです。次第に作業は富田、武上という二人が苦心しているようです。そんな不満を聞かされても、その制作には口を挟まないというという立場にありましたから、制作の進行中には沈黙を守りました。


 しかしそれから間もなく制作途中のあるアクションシーンのラッシュを見て欲しいというしらせがあって、プロダクションの試写室ではじめて映画のワンシーンと対面させて貰うことになりました。


 その日は副社長も同席していて、スタッフはかなり緊張しているようです。


 そんな中で東映動画から派遣されて動画に関しての指揮を執っている田宮氏は、私の反応はかなり神経を使っているように思えましたが、その日のラッシュで主人公が連続してアクションを展開する、かなり見せ場になるシーンが転回しましたが、大変満足であるという感想をメインスタッフに残して立ち去った後ですが、当時のアニメーションを知っている一部スタッフからは、かなりその表現の仕方についての不満が出て田宮氏に迫っていましたが、結局資金面・・・つまり製作費の問題を角川から託されている彼には、そう簡単にスタッフの要求に応えることも出来ないでいました。その結果原作者である私に判断を委ねてきたのです。


 勿論若手スタッフの主張するように、私もその感性的な表現があまりにも古臭くて納得出来なと思っていたところだったのです。これまでさまざまなことで原作者でありながら、細かなことにはほとんど口を挟まないで来ていましたが、やはり初めから不安に持っていたことは、現実のものになってしまったように思いました。私にとってはやはり映画制作の原点である制作会社の選定から、すべての問題が始まってしまったのだと、改めて思わざるを得なくなりました。


 問題のアクションシーンについては、もう一度作り直しを求めました。


 田宮氏も我々の要求は判っているのでしょうが、予算についての指示がされているのでしょう。非常に苦しい返答を繰り返したのでした。


 それから間もなくのことでした。田宮プロデユウサーから聞かされたのは、あまりにも思いがけない返答でした。今回の映画製作にかける予算は、6千万円から7千万円であるということです。すでにアニメーション業界では、映画制作ではほぼ二・三億円はかかるといわれている時代です。それを考えるとあまりにも低予算ということになってしまいます。しかも今回は「ファイブスター物語」の二本を同時に上映するというのです。気に入らないところを作り直して欲しいという製作スタッフの希望は僅かに許可されただけで終わりました。私はこの時に社長と副社長の性格が、大きく違うことを始めて知りました。いいものには充分に予算を組んで仕掛かり、それにかかわる人に対する扱いが大変温情的で業界では大変評判だったのですが、今回の話を聞いていると、副社長の指示は明らかに低予算での勝負をしようとしているわけです。どちらがいいのかということではありませんが、夢見る芸術家タイプの社長と現実を見つめる実務派の副社長という二人の性格の違いを知った貴重な体験でした。私にとってはかなり期待していた映画化という話でしたが、如何に低予算で集客ができるかという現実との戦いに挑まなくてはならないということを知らされたのでした。しかし会社としてはあくまでも制作の指揮は副社長が撮っているのですが、作品の制作者としては社長の名前が出ます。果たして完成した時どんな感想をお持ちになるのかと思ったりしたものでした。


その後映画の完成を記者発表する会に、私は副社長と共に出席しましたが。作品についての率直な感想を述べるわけにはいきません。記者の遠慮のない質問にどう答えなくてはならないか大変苦しかったことを思い出してしまいます。


                           「宇宙皇子」(映画化記者会見)1.jpg


                        「宇宙皇子・主題歌楽譜」1.jpg 「映画宇宙皇子主題歌」1.jpg


主題歌は「夢狩人」「かりなき愛を」の二曲の詩を書かせて頂き、歌手にはかねてからお付き合いのあったダ・カーポにお願いいたしましたが、作曲は異色の作曲家で東京工大の教授であった河野洋さんで、すでに「宇宙皇子」を主題にした交響組曲「宇宙皇子」を作曲してコロンビアから発売した方ですが、この時の音楽担当であったデイレクターは、かつて宇宙戦艦ヤマトで音楽を担当した小暮一雄さんでした。


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