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思い出作品の部屋 思18「篁・変成秘抄・御霊刈り」 [趣味・カルチャー]

    「宇宙皇子」は確かに大きなヒット作品となりましたが、その読者となった人はやはり若い世代の人のものとして評価されてしまいましたので、作家としては満足できなくなっていたのです。そんなところへサンケイ出版の雑誌である「WOWO」へ執筆をすることになったのですが、その結果角川書店との間で一寸した大問題が持ち上がってしまって、私も大変苦しい立場に立たされてしまったのですが、よやくその問題が鎮まった頃、書きたいものがあったらやってみませんかという話を持って来て下さったのが、これまで「宇宙皇子」の作業には直接かかわってはいなかったのですが、編集部とかなり近いところにいて私とも接触のあったTさんでした。前から今の勢いがあるうちに成人向けの作品も書きたいというある欲求がかなり前からあったところだったこともあって、「幻想皇帝」という仮想現実の大作にかかったのですが、ヒットしつづけている「宇宙皇子」に支障があるかも知れないという危惧から出版の途中で打ち切りということになってしまったのです。勿論そのことにはまったく説明されることはありませんでしたので、今になって推測することではありますが、間違いはないように思えます。

しかしそんなことがあったためでしょうか、成人向けの小説が書きたいという気持は次第に膨らんでいってしまっていたのです。

そんなところへ今度は社長のラインからの話として「野性時代」への連載のための企画を考えてという話が飛び込んできたのです。

 1987年の年末近くに、「野性時代」の新編集長として就任したT・Y氏が、私に逢いたいということでやってきたのですが、成人に向けた小説が書きたいという気持が次第に膨らみ始めている最中のことです。これまで文芸作品を執筆する作家を相手にして仕事をしてきたT・Yが「野性時代」の編集長として就任して私の担当として動くようになったのでした。その結果1988年2月号の「野性時代」に新たな成人向きの作品として執筆したのが、「小野篁・変成秘抄・御霊狩り」でした。

 「宇宙皇子」を執筆するようになってから古代史に興味が広がって取材するうちに、これまでいつからか興味を惹く人物として、平安時代に「野狂」と揶揄される実に異色の政治家がいたのです。すでに私はこれまでに、彼の故郷である小野の業・・・小野妹子の出身地を取材に出かけたことがあったのです。ところが篁資料館というものはあるにはあったのですが、謎めいた彼らしく、その軌跡がたどれるほどの資料は得られません。興味があるという私に所長はいいものが見つかったら教えて下さいというくらいでした。私はますます篁を主人公にした話が書きたいと思っていたところでした。

 すでにその頃、平安時代の朝廷の上層部の中では娘を天皇のところへ嫁がせて、やがて男子を生ませることが出世の糸口であるということが、貴族の中で囁かれていた時代に、数奇な生まれ方をしたのが小野篁ではないのかという発想で、成人向けの仮想現実作品を書いてみようということになったのです。

編集長は直ちに若手で「宇宙皇子」の作業で手伝っているK・YとR・Tを呼んで、企画ページの準備をするように指示したようです。小説の連載に入る前に、私のアピールができるような企画をするようにということのようです。

私は久しぶりに「幻想皇帝」以来の成人向きの小説となる企画の構想を練り始めました。この頃の私は兎に角書くということについては異常なくらいにのっていましたので、その素材探しに困るようなことはまったくありません。

実は古代の世界を調べたり書いたりしているうちに、平安時代の小野篁という人物に興味を持って、彼の出身地である小野郷まで取材に行ったことがあるのですが、現地にはまとまった資料がなくて、博物館とは言いながら、いいものが会ったら教えて下さいと言われてしまうほど、篁という人は謎多い人はいないように思うのです。

平安時代を書いた「嵯峨王朝史 新嵯峨野物語」(大覚寺刊)にかなり詳しく彼の足跡を書きましたので、読んで頂けると有難いと思いますが、朝廷では左大臣になるほどの要人でありながら、京の大路で霊体に出会ったとか、珍皇寺の井戸から地獄へ行って閻魔大王の秘書として働き、黄昏には西の清凉寺の井戸から現世に戻ってきたなどという逸話も残っている人です。しかし性格はかなり異質な方のようで、時には絶対的な権力を持っている遣唐大使にも曲がったことが許せないといって、遣唐副使という大役を拒否してしまったりもする人でした。私はこの「野狂」と揶揄される異色の人を主人公にして仮想現実の話を組み立てようと考えた結果、「篁・変状秘抄」というシリーズを起こすことにしたのです。

「幻想皇帝」では様々な社内事情から途中でそれを完結できない状態になっていましたので、どうしても別の話で仮想現実の世界を描いてみようと考えるようになっていたのですが、どうもあの時私に企画のきっかけを持ち掛けて下さったTさんは、今考えてみますと社長とは関係の薄い副社長のラインにいらっしゃる人だったのだということに気づきます。そんなことを考えますと、微妙に社内での力関係が影響していることが感じられました。しかし書きたいという意欲が横溢していた状態にありましたので、「宇宙皇子」のシリーズは決められた時間で執筆して、その空き時間を使って映画の制作に協力しながら、新たな成人向けという作品の創作に熱中していったのでした。

 「篁・変成秘抄」の第一巻として「御霊刈り」が仕上がりました。

 イラストには天野喜孝さんにお願いすることにいたしました。これまでアニメーションでの活躍は知っていましたが、書籍での作業でどういう仕事をして下さるか楽しみでした。

  

                                                「野性・篁・変成秘抄1」1.jpg 「篁1・御霊狩り」1.jpg

  「宇宙皇子」は確かに大きなヒット作品となりましたが、その読者となった人はやはり若い世代の人のものとして評価されてしまいましたので、作家としては満足できなくなっていたのです。そんなところへサンケイ出版の雑誌である「WOWO」へ執筆をすることになったのですが、その結果角川書店との間で一寸した大問題が持ち上がってしまって、私も大変苦しい立場に立たされてしまったのですが、よやくその問題が鎮まった頃、書きたいものがあったらやってみませんかという話を持って来て下さったのが、これまで「宇宙皇子」の作業には直接かかわってはいなかったのですが、編集部とかなり近いところにいて私とも接触のあったTさんでした。前から今の勢いがあるうちに成人向けの作品も書きたいというある欲求がかなり前からあったところだったこともあって、「幻想皇帝」という仮想現実の大作にかかったのですが、ヒットしつづけている「宇宙皇子」に支障があるかも知れないという危惧から出版の途中で打ち切りということになってしまったのです。勿論そのことにはまったく説明されることはありませんでしたので、今になって推測することではありますが、間違いはないように思えます。

しかしそんなことがあったためでしょうか、成人向けの小説が書きたいという気持は次第に膨らんでいってしまっていたのです。


そんなところへ今度は社長のラインからの話として「野性時代」への連載のための企画を考えてという話が飛び込んできたのです。


 1987年の年末近くに、「野性時代」の新編集長として就任したTY氏が、私に逢いたいということでやってきたのですが、成人に向けた小説が書きたいという気持が次第に膨らみ始めている最中のことです。これまで文芸作品を執筆する作家を相手にして仕事をしてきたTYが「野性時代」の編集長として就任して私の担当として動くようになったのでした。その結果1988年2月号の「野性時代」に新たな成人向きの作品として執筆したのが、「小野篁・変成秘抄・御霊狩り」でした。


 「宇宙皇子」を執筆するようになってから古代史に興味が広がって取材するうちに、これまでいつからか興味を惹く人物として、平安時代に「野狂」と揶揄される実に異色の政治家がいたのです。すでに私はこれまでに、彼の故郷である小野の業・・・小野妹子の出身地を取材に出かけたことがあったのです。ところが篁資料館というものはあるにはあったのですが、謎めいた彼らしく、その軌跡がたどれるほどの資料は得られません。興味があるという私に所長はいいものが見つかったら教えて下さいというくらいでした。私はますます篁を主人公にした話が書きたいと思っていたところでした。


 すでにその頃、平安時代の朝廷の上層部の中では娘を天皇のところへ嫁がせて、やがて男子を生ませることが出世の糸口であるということが、貴族の中で囁かれていた時代に、数奇な生まれ方をしたのが小野篁ではないのかという発想で、成人向けの仮想現実作品を書いてみようということになったのです。


編集長は直ちに若手で「宇宙皇子」の作業で手伝っているKYRTを呼んで、企画ページの準備をするように指示したようです。小説の連載に入る前に、私のアピールができるような企画をするようにということのようです。


私は久しぶりに「幻想皇帝」以来の成人向きの小説となる企画の構想を練り始めました。この頃の私は兎に角書くということについては異常なくらいにのっていましたので、その素材探しに困るようなことはまったくありません。


実は古代の世界を調べたり書いたりしているうちに、平安時代の小野篁という人物に興味を持って、彼の出身地である小野郷まで取材に行ったことがあるのですが、現地にはまとまった資料がなくて、博物館とは言いながら、いいものが会ったら教えて下さいと言われてしまうほど、篁という人は謎多い人はいないように思うのです。


平安時代を書いた「嵯峨王朝史 新嵯峨野物語」(大覚寺刊)にかなり詳しく彼の足跡を書きましたので、読んで頂けると有難いと思いますが、朝廷では左大臣になるほどの要人でありながら、京の大路で霊体に出会ったとか、珍皇寺の井戸から地獄へ行って閻魔大王の秘書として働き、黄昏には西の清凉寺の井戸から現世に戻ってきたなどという逸話も残っている人です。しかし性格はかなり異質な方のようで、時には絶対的な権力を持っている遣唐大使にも曲がったことが許せないといって、遣唐副使という大役を拒否してしまったりもする人でした。私はこの「野狂」と揶揄される異色の人を主人公にして仮想現実の話を組み立てようと考えた結果、「篁・変状秘抄」というシリーズを起こすことにしたのです。


「幻想皇帝」では様々な社内事情から途中でそれを完結できない状態になっていましたので、どうしても別の話で仮想現実の世界を描いてみようと考えるようになっていたのですが、どうもあの時私に企画のきっかけを持ち掛けて下さったTさんは、今考えてみますと社長とは関係の薄い副社長のラインにいらっしゃる人だったのだということに気づきます。そんなことを考えますと、微妙に社内での力関係が影響していることが感じられました。しかし書きたいという意欲が横溢していた状態にありましたので、「宇宙皇子」のシリーズは決められた時間で執筆して、その空き時間を使って映画の制作に協力しながら、新たな成人向けという作品の創作に熱中していったのでした。


 「篁・変成秘抄」の第一巻として「御霊刈り」が仕上がりました。


 イラストには天野喜孝さんにお願いすることにいたしました。これまでアニメーションでの活躍は知っていましたが、書籍での作業でどういう仕事をして下さるか楽しみでした。


                                        「野性特集1」1.jpg


         「野性特集2」1.jpg  「野性特集3」1.jpg 「野性特集4」1.jpg 


  1988年7月にはその二巻目である「野盗狩り」を発表いたしましたが、それをきっかけに、営業を展開しつづけている副社長とその周辺の人々からは、微妙な反応が生まれてきていたのでした。


 


 



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