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アニメと音楽の部屋☆ ア57「トランスフォーマの不安」 [趣味・カルチャー]

  

 1988年。


時代は大きく変化してきていました。


 私が出版界へ転身を図って、角川書店での作品の発表の場を得て、幸いにもその最初の機会に大変なヒットを出すことに成功したところです。「宇宙皇子」という大長編になる歴史世界での若年層に向けた小説です。出版されてから一年もしない頃に、読者の中からの発意で出版界では珍しいファンクラブなどというものが発足した翌年のです。


これまで「宇宙皇子」が短期間の間にベストセラー化してしまったこともあって、ブログではそれらの出来事を次々と書いてきてしまいましたが、ここらあたりで話は後先になってしまうのですが、「宇宙皇子」が発売されてそれほど時がたたない1988年3月の出来事について、お話しておかなくてはならないことがあったということについて思いだしました。これまで長いこと仕事を積み重ねてきた映像の世界から、転身を図って間もない私に、何と映像の世界から声がかかったのです。「宇宙皇子」というシリーズは間断なく必死で書きつづけ、それと同時に人気を日増しに上乗せ行く状態でしたが、そんな最中に映像界から久しぶりに仕事の依頼が飛び込んできたのです。


「マジンガーZ」「機構戦史ガンダム」「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」「六神合体ゴットマーズ」などというテレビ視聴者を熱狂させたテレビアニメーションが、時代の推移で姿を消していくのに合わせて私のテレビを通した活動も勢いを失い、新しい活動の世界を求めて出版界へ転身を図り始め、そのきっかけとなったのが「宇宙皇子」という作品のヒットだったのです。その読者たちによって結成されたファンクラブが活動を始めて間もない1988年の3月のことでした。久しぶりに思いがけない話が飛び込んできたのでした。暫く実作業から遠ざかって新天地での作業に専念していた時のことなのですが、長年親しくお付き合いをしてきた東映動画のYプロデユウサーから仕事の依頼があったのです。優秀な若い演出が率いる新番組にかかわってくれないかという話でした。


 「トランスフォーマ・ザ・ヘッドマスターズ」というアメリカ映画の第三作目で、この映画で新しいロボットが開発され、玩具として発売されるということなのです。


 かつて私がその開発に夢中であった、SFアクションという世界は、どうやら玩具販売に欠かせない世界に変身してきていたのです。


 時代の変化によって、アニメーションの世界では中心的な推進役を担ってきた世界は、完全に玩具と切り離しては存在しなくなっていたのでした。力をこめたテレビ版を制作するという話ですが、兎に角出版界へ転身したばかりで思いがけない大ヒットを記録したところでもあります。久しぶりに映像界から頂いたお話ではあるのですが、お話に乗ることは、一寸難しい雰囲気になっていたのです。まだこのまま映像の世界に戻るきっかけを放棄してしまっていいのかという気持もありましたが、現在出版界で起こっているブームを無視することもできません。そのへんの難しさを理解して貰った私は、兎に角スタートのあたりでの協力は約束しました。大雑把な話の運びと、シリーズ構成を執筆するということを約束して帰りましたが、兎に角第一話に関しては、何とかまとめなくてはなりません。ところがそれからこれまでにない脚本家としての新たな格闘をしなくてはならなくなってしまったのでした。


                                                「トランスフォマー2011」1.jpg


この時私には6年前のことが甦ってきました。


「機構艦隊ダイラガー」という作品を東映本社制作で行なった時です。その設定書を含めてメカのデザインが届けられましたが、もうこのころからそれまでの玩具の世界では大変な変革期にきていて、「マジンガーZ」のような巨大ロボットが活躍する世界から、やがて「六神合体ゴットマーズ」のように、そのスタイルがどうであれ、さまざまな役割を分担するロボットが何体も合体しているロボット物に変わって行きました。そのために純粋な思いで番組を制作しようとしていたスタッフからは、そういった武骨さをあからさまにして活躍させることに抵抗を感じさせてしまって、かなりスポンサーとの間に挟まって苦労したことがありましたが、それから数年もしない内にテレビ界では時代と共に受け止める視聴者の感性も大替わりしてきていて、陸上で活躍するロボットも、これまで以上に何体ものロボットをみにつけていて、相手によって次々と戦うための戦力として送り出すようになりました。これまでは地上での活躍をするヒーローととして活躍する存在であったものだったのですが、それは宇宙の場にまで広がり、時によって陸上と同じように武器のロボットを送り出して活躍するようになりました。いうなればあの「機構艦隊ダイラガー」はそれでもかなり初期的なロボットを扱うように、艦隊として繋がるロボット戦隊を宇宙で活躍させました。私は理屈抜きでこうしたロボットが宇宙に存在した上にまるで地上の生物であるかのような縦横無尽の活躍をする話には、どうしてもついていくことができなくなっていたのです。これも全体の流れを決めたところで、弟子である二人の脚本家にその後の作業を託して、私自身は身を退いてきたのです。生々しい歴史上の事件に翻弄されながら、必死で生きていこうとする人間たちを書くようになっていた私にはあまりにも時代の生み出す異常な世界との接点が生み出しにくくなっていたのです。今回の話も結局話の流れは作りましたが、どうも脚本として執筆し始めると、映画で描かれている進化したロボットっと世界を書ききれないという問題と直面してしまったのです。実際にそうした世界を描くには、新しい時代の波に乗って生きようとする若い世代の人の方の方が、視聴者の波長と上手く一緒に生きて行けるのではないかと思って、脚本を執筆することは後輩のT氏に任せることにしました。


                     「機甲艦隊ダイラガー」1.jpg 「ダイラガー台本 1」1.jpg


その後1985年には、またまた「超獣機神ダンクーガ」という話が飛び込んできた時には、再び地上での活躍をする存在としてのロボットではあるのですが、時代の進展によってその存在そのものが更にこれまでを越えた存在とは違う者にしなくてはならなくなりました。更に進化したロボットの世界を描こうという話が持ち込まれてきたのです。アニメーションの世界も、時代と共にどんどん視聴者の要求に応えようと、業界は苦闘していたのです。思えばかつて私が夢を求めて取り組んできたSFアクションというジャンルは、夢の物語を受け付けない鮮烈な現実と対峙していく姿を描かなくてはならなくなってしまいました。ここには珍しい記録が残っていましたので紹介いたします。「超獣機神ダンクーガ」の初期的な作業の記録です。私はこれも弟子の寺田憲史・武上純希に任せて実作業からは身を退いたのでした。


            「獣戦機ダイガン・スタッフ」1.jpg 「獣戦機ダイガン企画」1.jpg 「獣戦機ダイガン・構成表」1.JPG


時の経過とともにあまりにも生きる世界に変化が起ってしまいまって、安住できる場を失ってしまったように思います。これまで私の書いてきた夢の世界はどんどん遠ざかってきてしまっていたのでした。


 


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