「手紙」


 携帯やコンピュータがあるせいで、所謂手紙といえるものをほとんど書かなくなってしまったのではないかと思います。


 それでも私は若い時からワープロなどというものが現われてきても、わりに手紙をよく書く方であったと思っています。


 親しい友人たちへはもちろんのこと、お世話になっている方々、交際中の女性にも、時に応じて手紙はよく書きました。


 当時は文選にも、封筒にも趣向を凝らしたものを使っていましたが、しかし時代が進むに従って、次第にその数は減っていったように思います。


 どうしても携帯によるメールでの単信が多くなってきてしまいました。


 最近はその内容もごく簡単に済ませるものに変わってきてしまいました。


 ところで「手紙」というものは、どうして手紙というのでしょうね。


 そんなことから調べてみました。


 どうも私たちが使い慣れている手紙という言葉は、中国の人にこれまで通りのつもりで使ったりすると、とんでもないことになりますということなのです。


中国語では「手紙」というのは、トイレットペーパーだそうです。私たちが日常的に使ってきた「手紙」は、本来書簡です。それではどうして手紙という言葉が生まれたのでしょうか。残念ながらその定説はないそうです。


 昔ケチな人がいて、知人に手紙を書くのに紙を使うのはもったいないと、木の葉に書くのももったいないというので、使いの者の手に返事を書いたということが伝えられています。しかしこれはどうも落語の小話のように思えてなりません。


 紙は昔から貴重品であったことは確かですから、簡単にすむようなことであったら、使いの者の手に返信を書いたかもしれません。そんなことから、紙の代りに手に書いたので、「手紙」というようになったというのが、意外に正解といえるのかも知れませんね。