「全然」


 若い人が話す言葉には、とても理解できないような子流行語らしいものがありますが、これ以外に年配者としては、どうもどうしても不可思議儀思えて仕方がないのは、「全然」という言葉の使い方です。


 私たち年配者は、「全然」問えば、否定的な意味で使われることが多かったのですが、若者はそれを極めて反対の意味で使っていることが多いのです。


 映画を観た時でも、気に入らなかった時などは、「あれはまるで感動てきではなかったな」というのが年配者の感想でしょうが、同じ映画を観ても稚も出会ったら「あれは全然感動だったよ」となるでしょう。これは本人の受け止め方の違いによる表現の違いではなく、ごく日常的にテレビなどに登場する年配者と若者の「全然」というという言葉の使い方なのです。つまり我々年配者は否定的なことの時に使うのが「全然」で「とても満足できなかった」とか「とてもとても我慢できなかった」というふうに、否定の意味で使ってきたのですが、若者のように肯定的には使いません。しかし若者はそれをまったく我々とは違った「肯定」の意味で使うのです。


「全然いい」とか「全然助かった」という風にです。しかも・・・テレビなどではそれに対して、訂正するような様子を見せません。


 どうしてなのだろうかと思いだしてから、大分たつので、ついに調べてみましたが、どうやら私の受け止め方に間違いがあったらしいのです。


 東京などでは「とてもきれいだ」とか「とても満足です」という風に


「大変に」とか「非情に」という時に使ってきたのですが、これは本来否定的な表現として使われてきたものであったのに、別の使い方をしたためだということなのです。


 どうやら明治時代ごろからのようですが、実に紛らわしい使い方をしたもののようです。


 したがって若者が「全然」とい言った時は、決して否定的ではなく「とっても」とか「非情に」とかいう皇帝の意味での表現に使っているので、


それを間違っているというのは、明治時代ごろから「否定」の言葉を「肯定」として使ってきた我々の先人に間違いがあったということでした。


 話は藪蛇でしたね。