「やにわに」


穏やかに話し合いは済むと思っていたところ、矢庭に相手は、過去に世話をしたことがあるので今回はそれに応えて貰うといって、話し合いの途中で「とても大幅には譲れない」などという風に予想もしないことを言い出したりする時などに使われます。交渉事の始まりなどに、矢庭に思いもしないことを持ちだされたというよな経験はなかったでしょうか。


 漢字で書くと、「矢庭」と書くのですが、これは単なる当て字をしたわけではなく、実際に即して使われているのです。つまり「庭」という概念が、現在考えられるように、ごく狭い範囲の庭で放たれたものらしいのですが、昔はかなり広い範囲で、家の近くの場所といったくらいの漠然とした意味で使われたようで、突然矢が飛んでくる可能性もあったのです。つまり矢の射程距離内の場所ということでしょうか。突然矢が飛んで来る予想外なこともあったのでしょう。


 交渉事で矢庭に問題を持ちかけられることの方が多かったことから使われるようになったのかも知れません。何とか話し合いで穏やかに治めることができるかもしれないと期待しているところなのに、「矢庭に」矢を打ち込まれたりしては大迷惑ですね。


 兎に角、交渉事の最中に、いきなり結論を急ぐような、思いがけない条件を持ち出したりすることは止めることです。時には相手の意表をつく作戦として「矢庭」な発言をすることもあるかもしれませんが・・・。