「そして誰もいなくなった」


 


 まるでミステリーのタイトルのようなお話になってしまいました。


 最近になって俄かに気が付いたことですが、昔は中学・高校・大学時代にお付き合いが多かったので、日常のあれこれから、お互いの情報を交換し合う機会が多々あって、会わなくても、電話をし合うか、コンピュウターかスマホなどで、簡単に相談事ができる状態で満足していましたが、年齢を積み重ねていく度に、その相手にしていた人たちが、ぱらぱらと欠けてくるようになってきたのです。


日ごろ鬱積していることを、気楽に吐き出せる雑談が出来なくなってしまったなと思うようになりました。


 もうしばらく前から、物書きの合間に散策に出て、町の文房具屋さん、魚屋さん。八百屋さん。書店の奥様と他愛のない日常の対話を楽しませて頂いていたのですが、生活のさま変わりということもあって、したしめた商店までも廃業ということで姿を消していきました。


町の日常の風景が変わるように、住まう人達も大幅に若い人に変わっていきます。日常のこと、社会的なこと、国際的なこと、心にかかることなどを気軽に吐き出して、思うところを話し合える機会がなくなりました。


 少なくとも七十代までは、そういったことを切実に考えることもなかったのですが、八十歳を越える頃になって、にわかに閑談の出来る知人、友人がいなくなってしまっているのをひしと感じます。


 熟年のみなさん。


 折角自由になる時間をお持ちになられたのですから、気楽な閑談を一緒に楽しみませんか。


 今回はそんな呼びかけからさせて頂くことにいたしました。